日本のバス市場は、コロナ禍の影響で大きな打撃を受けました。特に三菱ふそうは、その影響が顕著で、一時は生産台数が90％も減少しました。しかし、2024年現在、同社は少しずつ回復の兆しを見せています。三菱ふそうトラック・バスの高羅克人バス事業本部長は、生産ラインが徐々に活気を取り戻している現状について明るく語っています。
三菱ふそうは、国内大手のバスメーカーの一つとして、観光バス、路線バス、小型バスなど幅広い車両を手掛けています。コロナ禍で新車の需要が大幅に落ち込み、特に大型観光バスは、2019年と比較して2021年、2022年の需要が大幅に減少しました。この厳しい状況を乗り越えるため、同社はさまざまな対策を講じてきました。
藤岡佳一郎社長によると、これまで経験したことのないほどの需要減少に直面し、バス事業の重要性を改めて認識したと言います。コロナ禍の中、同社は工場を一時的に閉鎖し、工員を他の業界へ出向させるなどして雇用を維持。さらに生産工程の見直しを行い、効率化を図ることで、生産体制を大幅に改善しました。
2023年以降、インバウンドや旅行者の増加に伴い、バスの需要も回復。高羅さんは、コロナ前の水準を超える短期的な需要の増加も期待されると語ります。また、生産台数は2024年末までにコロナ前の3割減程度まで回復する見込みです。
しかしながら、バス業界は依然として多くの課題を抱えています。ドライバー不足は長年の問題であり、三菱ふそうは新規事業として「ドライバーの派遣支援」を検討しているといいます。これは、業界全体の課題に対する具体的な解決策となり得る重要な取り組みです。
このように、三菱ふそうは単に回復に努めるだけでなく、業界の構造的な問題にも積極的に取り組んでいます。その姿勢は、他のメーカーにとっても参考になるでしょう。新型コロナウイルスが引き起こした危機を、革新的なビジネスモデルで乗り越えようとする姿は、多くの産業にとって大きな示唆を与えるものです。私は、このような困難な時期に、柔軟かつ前向きに対応を試みる企業の努力に深い敬意を表します。バス業界の持続可能な成長
と発展に向けて、今後の動向が非常に注目されます。
